突然ですが、剣道の竹刀はどの指で持つかご存知ですか?刀も同じですが。左手の小指で握って振るというのが基本です。あとの9ほんの指は添えているだけなのです。ということは、小指は(右も左も)とても力持ちなのです。さらに動きのコントロールもできるということです。
ではなぜ親指ではないのでしょうか?親指に力が入って握ると、肩に力が入ってしまいます。そして肩関節が前に巻いてしまい、コントロールが効きません。腕、肘などの可動域が狭くなり、腕が自由に大きくは動かなくなります。
昔、刀で振ったり物を切ったりする時、その肩や腕の自由さ、コントロールの正確さ、素早い動きは命に関わることでした。そこから古来教えられてきたことだったのです。しかし今、私たちは小指の威力を忘れています。親指にばかり、そして利き手ばかりを頼ってしまっています。
重いものを持つときも、小指に力を込めてみてください。肩に余計な力が入りすぎず、肩コリも減らすことができます。
また、さらに同じ刃物でいうと、包丁を握るとき、小指を中心に握ってみてください。包丁の柄の端にくぼんだところがあります。ここは小指を引っ掛けるところです。そこに小指を引っ掛けて握り、あとの4本指は軽く添えます。この握り方だと肩から腕が前後に大きく動きます。これが、力で切るのではなく、「包丁を引く」という切り方なのです。ところが親指に力を入れて握って切ると、上から潰すように切る切り方になってしまいます。おそらく今まで使い慣れていない小指ですから、練習が必要だとは思いますが…。
小指をギュッと握るだけでも、肚(丹田)に力が入り、気持ちが落ちつきます。呼吸も深くなります。この肚がすわる感覚が度胸と繋がっているので、その筋の世界では小指をつめるのだと聞きました。小指の威力を見直してはいかがですか?