3月は花見月と呼ばれるほど、あちこちで梅や桜が咲き誇っていますね。そんな中、不調を訴えられる方が少なくありません。治療に来られている方には、各自に合った対処法をその都度お伝えしていますが、そうでない方にも是非お勧めしたいのが「絶食」です。
多くの方は食べないことに恐怖を感じているようです。命に関わることだと考えてしまう。そこでスープやお味噌汁だけでも摂ろうとしますが、実はそれだけでも弱っている身体には負担がかかるのです。
そうお伝えしても、そんな事をしたら返って体力を失ってしまうのでは?と怖れる方や、食事の量をいつもより控えればいいのでは?と自己流に解釈してしまう方がいらっしゃいますが、それは違います。
実際、たった1日だけでも試してみると、不調が和らぐのを感じられることでしょう。やり方は簡単です。「良質な水と良質な塩、それ以外は摂らない」、それだけです。後はできるだけ無理をせずに身体を休めてください。
私たちの内臓はフル稼働しています。さらに私たちにとって大事な食事は消化器官及び体を酷使しています。消化というと胃が主に働いていると思われがちですが、実は胃では、食物と胃液が混ぜられてかゆ状になったものを貯え、少しずつ腸に送るということをしています。消化はほんの少しされています。そして腸内では、そのかゆ状のものが膵液、胆汁,腸液、また、それらに含まれる酵素類などにより、吸収可能な状態にまで分解され(これを消化と言います)、小腸の壁にある絨毛という突起内の毛細血管に吸収されていきます。
ということは食物を食べると胃や腸だけでなく肝臓、胆のう、膵臓、などの消化器官、そしてその消化器官が適正に働くように命令している脳や自律神経などすべてが働かなければなりません。ですので、消化吸収には相当のエネルギーが消費されています。三食キチンと食べるとフルマラソンを走りぬくほどのエネルギーを消費すると言われているほどです。
ですので、野生動物は病気やけがの時はまず食を断ちます。体を回復させるための最善の方法だと知っているからです。これが本能なのです。
では、絶食によりどんなことが起きるのでしょうか。消化器官始め内臓が休まります。消化吸収に使われていたエネルギーが治癒力にまわせるようになります。しかしそれだけではありません。
- 体内に蓄積された毒素を排泄し、体の大掃除ができます。
- 血液浄化をします。
- 活性酸素を減らすことにより万病のもとになる酸化毒を防ぎます。
- 免疫力を上げます。
等々が起こり、自然治癒力や全身の新陳代謝が一気に活性化します。
先日、私も胃腸が重く感じたので絶食をしました。翌日も調子が戻らなかったので、続けて絶食しました。その時は仕事があったので、十分な休養も取れませんでしたが、むしろ絶食した方が身体が軽く動き、楽でした。
私たちの体はたくさんの蓄えを持っています。いろいろな事態にもきちんと蓄えているので、安心してその力を信じてあげてください。
また、絶食後の復食はお粥から始めてください。じわっと広がるような滋養にきっと感動するでしょう。
ことわざにも『腹八分医者いらず』とも言われています。普段から現代人は飽食のため不健康や病気を招いていると感じています。不調のときはなおさらです。絶食は食を断つことにより体全体を休ませ、機能を回復改善させ、体本来の力を目覚めさせてくれる方法だと思います。
ただし、無理はせずに。個人によってもその時の体調によっても期間や方法などは異なると思います。良質な水分と塩分をこまめに取りながら、ご自分の体の声に耳を傾けて行ってください。