靴の履き方 2020年10月1日2020年10月2日 寶田健康コラム これは私の足の写真です。指が曲がったり、浮き指や外反母趾などの変形がありません。また足裏にもたこができたり、硬くなっているところがありません。 ところが、今までたくさんの方々の足を見てきましたが、ほぼ100%の方々に足指の変形があり、足裏や拇趾の外側、足指の第2関節の上にもたこがあります。ヒールが高い靴や先が狭く尖っているような靴を履いている女性だけでなく、男性にも、10代、20代の若い方にも指の変形が多いです。そのせいでしょうか。膝や腰の痛みを訴える方が増えています。ひどくなると、あちこち痛くなって歩けなくなる方もいらっしゃいます。 最初は姿勢や歩き方に注目しました。しかし、歩き方はなかなか意識して変えることができません。いろいろ工夫してみましたが、ご自身が体感しにくいこともあり、思ったような成果が上がりませんでした。 ある時ふと気づきました。靴の履き方です。 治療院は靴を脱いであがっていただきますが、ひも靴であってもひもをほどいて脱ぐ、履いて結ぶということをしていらっしゃる方がいませんでした。 私は若い頃から自分に合う靴がみつからず苦労しました。たまたまある靴屋さんが私の足を見て、「あなたの足は長さのわりに横幅が細く、さらに甲が薄いため、日本人の靴の木型に合わないのです」と言われました。それで「ひも靴か甲にベルトのある靴を選び、靴のかかとをしっかり合わせて履き、甲のところでひもでしめて履きなさい。そうしないと足が前にすべり、靴の先に指先があたり、痛みや変形がおきますよ」とアドバイスされました。それ以来ずっとその履き方をしています。 ということは、多少面倒ではありますが、脱ぐたびにひもをほどき、履く時はひもをしめて結ぶということをしています。そのお蔭で、かかとから土踏まずのところで靴が足に密着しているため、足指が靴の先にあたって曲がるということもなく、自由に動きしっかり地面をとらえることができます。もしかしたら、この習慣が私の足指が曲がらずにすんだ要因だったのだろうかと思いあたったのです。 脱いだり履いたりが楽なように、ひもを緩めに結んでおいて靴を履きますと、足全体が靴の中で泳いでしまい、足が前にすべり、靴先に足指があたってしまいます。そのために指は縮まって曲がったり、無理な歩き方になり外反母趾になったり、浮き指になったりという骨の変形が起きるのではないでしょうか。そして足は全身を支えて、立ち、歩きます。その足が歪むと全身の歪みをつくります。膝痛、腰痛、首肩痛、背中痛などの痛みやO脚などの変形の原因になるのではないかと思われます。その原因を取り除くための靴の選び方、そして履き方をお話したいと思います。 靴の選び方 かかとがしっかりしているものひも靴であること靴のかかとに自分のかかとを合わせた時、指先に1cmくらいの余裕があるもの 靴の履き方 靴べらを使って足を入れます。そして靴のかかとに足のかかとをトントンと合わせます。ピタッと合った感じは、靴のかかとが自分の足をしっかりサポートしてくれる安心感があります。履きましたら、ひもを足先から一段ごとにしっかりしめていきます。(一度しっかりしめておくと、履くたび毎回やらなくても大丈夫です)最後、蝶結びをしてとめます。そして、靴を脱ぐ時には必ずひもをほどいてみてください。そうすれば履く時は必ずひもを結ぶ習慣になると思います。(写真のように、蝶結びだけほどけば脱げます) こうやって履くと、靴のサイド部分、土踏まずあたりに靴が密着し、靴と自分の足の一体感が感じられます。これで歩きますと、靴の中で足がすべらず、指が開きしっかり使え、しっかり立てます。そして足が軽く感じられます。足が安定しますと、全身が安定して姿勢も良くなり、腰も伸びます。このことが体の歪みからくるあちこちの痛みや不調を改善してくれると思います。 そして靴を履いたときの足指のくせ、立ち方歩き方のくせ、歪みが日常のくせにもなっていたのではないかと思います。正しい靴の履き方を心がけることで、日常の歪みの改善にもなるのではないかと思います。是非試してみてください。 歩き方のコツ 大股ではなく、小股くらいの歩幅で歩く(大股だと足裏〜指がしっかり地面をとらえるということができません)1本軸ではなく、2本軸で歩く(両足の横に10cmくらい離して歩くと、安定して足全体に負担をかけません)膝を伸ばしてかかとから着地、足裏全体で地面をとらえて5本の足指で地面を蹴るように歩きます。つま先が上がり、つまずきにくくなります。 大事なポイント <用語の説明>浮き指:指が地面についていない屈(かが)み指:指の第1関節が折れ曲がっている外反母趾、内反小趾:足指のつけ根が曲がっている寝指:指が横に寝ており、爪も上を向いている